例によって、FY24のソノブイ予算について予算資料を確認します。同じような話を既に2回書いているので、今回は備忘録的性格を強めてかなり端折って書きます。
FY24の資料はここからどうぞ。ソノブイはOther Procurement, Navy BA 3です。
FY24のソノブイ購入予算の要求額は3.01億ドル。過去最高ではないですが、FY20の3.05億ドルに続いて2番目になるか、という規模です。これは今年の要求額が大きいだけという話ではなく、ソノブイ購入額は近年急激に増加しています。FY20-24の5年間の平均は2.96億ドルであり、これは10年前すなわちFY10-14の1.03億ドルの実に3倍に達しようかという額です。
これらの内訳をみていくことにしましょう。FY24は金額ベースではSSQ-125が3割を占めているものの、数量ベースで見るとDIFAR SSQ-53が7割5分を超えます。これは現在のソノブイ調達の課題をよく表している数字です。すなわち、P-8Aへの機種更新に伴うソノブイ使用数の増加とMultistatic active coherentの高額なソノブイによる予算の膨張/圧迫です。
各ソノブイの単価の推移も同様に見てみると、MAC-ADARペアのお高いところが浮き彫りになります。お高いだけならまだしも、価格の変動も洒落になりません。FY23より低減できそうな点は良し。一方でDIFARとDICASSは流石の安定感を見せてくれます。
さて、数量ベースで見るとSSQ-125の調達がFY22, FY23と非常に少数にとどまっていましたが、FY24は増やすようです。これがどういう意味を示すか推測するには、在庫量を推測するのがよいでしょう。
詳細は以前書いたので省略しますが、仮にSSQ-125の使用期限を納入後3年、4年、5年とし、使用を考慮しない場合の在庫量をグラフにすると次のように表されます。
実際の数字はもちろん知らないので暢気に書いているわけですが、どうやら3年であればFY20, FY21で積み上げた在庫の期限切れを当面受け止める、5年または6年であればFY18, FY19分の補填による在庫水準の維持という説明に落ち着きそうです。ただし、例年通りであれば横軸(calendar year)2025年中には、ここに反映されていないFY25調達分の納入が始まるはずなので、2026年は当てにならないことには注意が必要です。
ここ5年間は総額約3億ドルで上げ止まりというような推移をしてきており、FY24でもこの傾向は継続することになりそうです。特に大国との緊張が高まる現状でこの規模の数量を維持するためには、ここからの圧縮は厳しいものがあるのでしょう。