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米海軍は無人機をどう使うのか: UxS IBP 23 その1

 米海軍・太平洋艦隊がUxS IBP 23という実験を始めました。これはUnmanned Systems Integrated Battle Problem、すなわち無人システムを戦闘に統合していくうえで生じる問題を明らかにし、戦力化することを目的としたものです。一昨年にUxS IBP 21として始まり、昨年は実施されなかったので今回は2回目です。前回はTwitterアカウントを開設して広報していたのですが、今年はどうするのか地味に気になっています。

twitter.com

 現在始まっているのが23.1と呼ばれるフェーズで、長距離火力、監視、偵察、指揮統制、情報の再構成に焦点を当てているものと説明されています。

www.cpf.navy.mil

 これまでにいくつかの興味深い写真が公開されているので紹介します。

 まずはこちら。4隻の小型の無人水上艇が円を描きながら等間隔に運動しており、複数のUSVを協同して運動させる能力が示されています。

等間隔に航行し円を描く4隻のSUSV (VIRIN: 230502-N-UN585-1775)

 さてこのUSV、アップになっている写真を見ると、どうやら米海軍の自走海上標的Ship-Deployable Surface Target (SDST)のようです。これは水上バイクを遠隔操作することで水上標的として使用するものです。もう一点気になることとして、青い箱が載せられています。これは昨年のRIMPAC 2022において他国艦艇を含めて取り付けられた、イリジウムトラッカーのテレメトリシステムと思われます。無人艇の運動を詳細に評価するために取り付けられたのでしょう。

当該SUSVのアップ。青い箱が見える。 (VIRIN: 230502-N-UN585-1934)

RIMPAC 2022にて、フランス海軍艦艇FS Prairial (F731)に取り付けられるITU (VIRIN: 220629-N-UP244-2032)

 さらにSDSTに爆発物を搭載している様子、そしてSDSTが衝突・爆発した後と思われる標的の写真も公開しています。ウクライナは小型USVに爆発物を搭載して自爆USVとして運用したようですが、米海軍も同様の攻撃が技術的に可能であることは示されました。

 ちなみにこの標的の標的となったものは各種非自走水上標的のベースとして使われる双胴のはしけを利用したもので、前回のUxS IBP 21ではこれにレーダーやレーダーリフレクターを載せたものがUSS John Finn (DDG 113)から発射されたSM-6の標的となりました。

 

SDSTに爆発物を搭載する様子 (VIRIN: 230503-N-AV223-1136)

爆発を受けた後と思われる標的 (VIRIN: 230503-N-AV223-1142)

 その1はここまで、面白い無人機が多く出てくるでしょうから、続編はたぶんあります。