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横須賀配備米海軍艦の見分け方 アンテナ編

 既に同じような趣旨の記事は大量にありそうですが、気が向いたので横須賀配備の米海軍DDG、CGの見分け方について書いてみます。艦番号も艦名も角度が悪くて見えない、手前の艦に隠れてマストくらいしか見えない、そんな時にもこれさえ覚えておけば安心です。

 

DDG

 まず、現在横須賀に配備されているDDGはフライトIのUSS Barry (DDG 52)、USS Curtis Wilbur (DDG 54)、USS John S. McCain (DDG 56)、USS Benfold (DDG 65)、USS Milius (DDG 69)、フライトIIAのUSS Mustin (DDG 89)、USS Rafael Peralta (DDG 115)です。フライトIとフライトIIAは艦橋構造(あるいはSPY-1の設置位置)の違いやヘリ格納庫の有無等から判断しやすいですね。

 

 先に数の少ないフライトIIA艦の見分け方から。こちらは簡単で、マスティンはSLQ-59を艦橋ウイング横に装備しているのに対してペラルタは未装備です。他にも短魚雷発射管の位置(マスティンは煙突横、ペラルタは格納庫上)、衛星通信アンテナ(マスティンはOE-82C、ペラルタはOE-570 ?)も都合が良いですね。

 

 続いてフライトI。こちらはすべてSLQ-59を装備しているので見分けるのには使えません。一方でそのすぐ下のSLQ-32は(V)2の艦と(V)6の艦があります。側面に円柱の半分を付けたような形状の無い、斜め前方と斜め後方を向いた面にのみ平面アンテナの見える単純なものが(V)6です。(V)6を装備しているのはベンフォルドとミリアスの2隻です。(V)6では航海レーダーと水上捜索レーダーの間に円柱形のHGHS (High Gain High Sensitivity)アンテナが搭載されていることでも見分けられます。

 

 ではこの先をどう見分けるかというと、まずはマストの上部を見てみましょう。一番上に円盤状のTACAN(これはすべて装備)があり、そのすぐ下です。ここにはDF(direction finding; 方探)アンテナが装備されています。詳しくは過去記事を見ていただくとして、ミリアスはここにAS-4773と呼ばれる三角コーンのような形状をしたアンテナを装備しています。一方でベンフォルドは円盤から上下に棒(これがエレメント)が複数突き出したような形状のアンテナを装備しているので見分けられます。

 

orca-oruka.hatenablog.com

 

 ここまででベンフォルド、ミリアス、マスティン、ペラルタが見分けられるようになりました。残るはバリーとウィルバー、マケインです。

 

 更に視線を下げるとIFFの環状アレイ(OE-120)があり、そのすぐ下に多くの艦がPAAAを装備しています。PAAAはCEC(共同交戦能力)の他ユニットとの通信を担っている長方形の平面アンテナです。バリーは装備し、ウィルバーとマケインはこれを装備していないので見分けられます。

 

 ウィルバーとマケインは少々わかりにくくなってしまいますが、右舷下側のヤードに長い棒が付いているかどうか(ウィルバー: あり、マケイン: なし)で見分けるのがまだ比較的わかりやすいかと思います。

 

CG

 横須賀配備のCGはUSS Antietam (CG 54)、USS Chancellorsville (CG 62)、USS Shiloh (CG 67)の3隻です。

 

 こちらは隻数が少ない分、比較的簡単です。まずは前側のマスト頂部を見てみましょう。これも上記の記事にありますが、DFアンテナがあります。チャンセラーズビルは上記のAS-4773を装備しており、これはこの3隻の中で唯一です。

 

 次に後ろのマストに目を移すと、PAAAを装備しているのがアンティータム、装備していないのがシャイローです。これで3隻見分けられます。簡単でしたね。

 

 

 

 以上、DDG、CG〆て10隻の各種アンテナからの見分け方でした。何番煎じかもわからない、写真を貼らない雑更新でしたがいつかお役に立てれば幸いです。こういったアンテナは改修でしれっと変わっていたりするのでいつまで有効かはわかりませんが、現状は合っているはず...。最後にフローチャートを載せておきます。

 

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横須賀DDG, CG判別フローチャート